生活のオノマトペ【自然の道具箱 Vol.2】
#暮らしを楽しむ #家事の工夫 #木の香り
| 毎日繰り返される朝の時間。 家事や育児、仕事をはじめる時に、浮かない気分の朝にも楽しめる、ちょっとした工夫をご紹介します。お部屋の中で、そして時には窓を開けてみて、生活のオノマトペに耳をすませてみてくださいね。 |
最終更新日 2023/2/24
執筆・写真 Atsuko Ebizawa
家族を送り出したあとの家の中は
静まりかえっているのに
雑然としている。
布団はひいたまま。
シンクには
朝ごはんを食べたあとの食器。
洗濯物を干すのもこれから。
家事をさっと終わらせて
はやく仕事にとりかかりたい。
いつもはここで
ワイヤレスイヤホンをつけて
軽快に話すパーソナリティーに
やる気をもらう。
けれど、今日はそんな気分じゃない。
人の声を受け入れるには、
頭の中の容量が足りない。
音のない家事の時間も
たまにはいいか。
まずは洗濯物から。
いつもの誰かの声の代わりに
聞こえてくるのは
生活のオノマトペ。
シューッ
シャンシャンシャン
シャツが洗濯物から解ける音
アルミハンガーの重なりが奏でる音
バサッ
タオルを振り下ろすときの音は爽快。
ベランダの窓をあけると、
森から鳥のさえずりが聞こえる。
物干し竿にハンガーをかけるとき
リズムを刻んでみたくなった。
カタッ・カタッ・カタッ・カタッ
まるで小鳥とわたしで
セッションをしているよう。
生活の音に
耳をすませば
いつもとちがう家事の時間。
家事が一通りおわった部屋に
お気に入りの香りを。
空気が整う。
いつもの自分に戻る。
わたしの新しい今日がはじまる。
|
Profile 海老澤敦子 Atsuko Ebizawa  1988年、兵庫県出身。革作家。 小学校教諭として在職中に、JICAボランティアとしてエチオピアへ（2015~17）。教育に携わる仕事を経て、2022年よりフリーランス。エチオピアレザーを使ったアクセサリーや革小物の制作と販売をしている。 Instagram @atsuko_today |
|
空気を整え、新しい今日をはじめたい時のおすすめアイテム  |
エッセイ更新のお知らせはPhnom Toiの公式LINEから受け取れます。
エッセイ連載 ”自然の道具箱"
Vol.1 巡らない朝に、森の空気を
Vol.2 生活のオノマトペ
Vol.3 さよならの季節、ゆれる気持ちが向かうところ。
Vol.4 家を好きになるために、小さな自然を暮らしの中に
Vol.5 手を眺めながら思うこと。
Vol.6 哀しみに寄り添う雨の景色
Vol.7 一杯のみそしる
Vol.8 夏の自然に、涼を求めて。