巡らない朝に、森の空気を【自然の道具箱 Vol.1 】
#森林浴 #身近な自然 #自分を労わる
冬の寒い朝。 なんとなく活力が湧かない時、無気力な時に、30分ほどの時間で体や気持ちを巡らせてくれるような、森の楽しみ方をご紹介します。 近くに森がなくても、お家の近くの公園やゆっくり歩きやすい場所などで、ぜひ身近な自然を感じてみてくださいね。 |
最終更新日 2023/2/9
執筆・写真 Atsuko Ebizawa
やらなきゃいけない仕事があるのに
活力が湧いてこない。
どうも体が巡らない。
連休に食べ過ぎたせいだろうか。
いつものリズムが崩れてしまったせいだろうか。
ふと思いつき、森へ散歩に出かけることにした。
トートバッグの中は、スマホと読みかけの本、そしてはさみ。
いつものスニーカーを履く。
気温5度。
冬の空はどこまでも青くて清々しい。
北摂の1月は、
そんなにたくさん着込まなくても
厚手のセーターで十分だ。
体の中のよどんだ空気を入れ替えようと
深く深呼吸をする。
冷たい空気を感じるのは鼻の奥まで。
体の中までは入ってきてくれないのか。
森の入り口。
落ち葉が擦れる音が好き。
濁点つきの音が、妙に落ち着く。
わたしが一歩歩くたびに、
ちゃんと応えてくれるのが嬉しい。
鳥の声が好き。
声を聞いて、性格を想像する。
きっとあの子はお転婆な女の子だな。
森の奥へ入っていく。
今日の散歩のミッションは、おうちに飾る草木を見つけること。
森を歩いていると、
足を止めてしまう瞬間がある。
まるで「ねぇねぇ」と植物がわたしに話しかけてくるようだ。
私は、小さな葉っぱがついている枝を
トートバッグに入っているはさみでチョンと切る。
おうちに持って帰らせてもらうことにした。
気がづけば、重だるい肩もスッキリしない頭も
どこかに行ってしまった。
なんだか調子がでない朝は
時間をつくって森に出かけよう。
朝のほんの30分が
体を、気持ちを、
巡らせてくれる。
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エッセイ連載 ”自然の道具箱"
Vol.1 巡らない朝に、森の空気を
Vol.2 生活のオノマトペ
Vol.3 さよならの季節、ゆれる気持ちが向かうところ。
Vol.4 家を好きになるために、小さな自然を暮らしの中に
Vol.5 手を眺めながら思うこと。
Vol.6 哀しみに寄り添う雨の景色
Vol.7 一杯のみそしる
Vol.8 夏の自然に、涼を求めて。