哀しみに寄り添う雨の景色 【自然の道具箱 Vol.6】

 

#雨 #紫陽花 #メンタルヘルス #身近な自然

憂鬱な空色や降り続く雨。そんな時だからこそ、気持ちを沈めて梅雨のしっとりとした空気に浸るのもいいかもしれません。京都・三室戸寺のあじさいの景色を言葉にのせてお届けします。

 

最終更新日   2023/6/28
執筆・写真 Atsuko Ebizawa

 

 

 

 

ある日突然やってくる 

哀しいこと。 

 

誰かに話を聞いてほしいわけではない。 

「わかるよ」なんていらないから。 

 

この気持ちを言語化して、 

体の外に一刻も早く出したいわけでもない。 

守りたいものがあったという証だから。

 


 

 

人のやさしさを 

うまく受け取れないとき 

外の世界に心を閉ざしてしまいたいとき 

 

わたしを救い出してくれるのは 

おおらかな自然の存在。 

 

いまの気持ちと 

同じ湿度の雨の景色。 

 

鼓舞するわけでもなく、 

助言をするでもなく、 

静かにだまってそこにいてくれる。 





京都宇治・三室戸寺。 

あじさい寺」とも称されるあじさいの名所へ。 

哀しい気持ちを抱えて門をくぐった。 

 

 

 

 

杉の木の間に咲き乱れる 

色とりどりのあじさい。 

 

アンニュイな雨の香りが 

心をやわらかくしてくれる。 

 

 


花の色が体の中に 

淡くゆるやかに混じっていく。 

 

雨と花がある景色は 

やっぱりやさしい。 
 

 

 

 

外と内の世界の 

ゆらぎとあわい(間)を感じながら 

 

ゆったりとまた、 

もとの道に戻ればいい。 

 

 

 Profile

海老澤敦子 Atsuko Ebizawa

1988年、兵庫県出身。革作家。
小学校教諭として在職中に、JICAボランティアとしてエチオピアへ(2015~17)。教育に携わる仕事を経て、2022年よりフリーランス。エチオピアレザーを使ったアクセサリーや革小物の制作と販売をしている。

Instagram  @atsuko_today

 

 

やさしい自然の景色を飾るアイテム
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エッセイ連載 ”自然の道具箱"


Vol.1  巡らない朝に、森の空気を
Vol.2  生活のオノマトペ
Vol.3  さよならの季節、ゆれる気持ちが向かうところ。
Vol.4     家を好きになるために、小さな自然を暮らしの中に
Vol.5    手を眺めながら思うこと。
Vol.6    哀しみに寄り添う雨の景色
Vol.7    一杯のみそしる
Vol.8    夏の自然に、涼を求めて。

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