職人が生み出す 地球にやさしいモノづくり|木工職人 竹田さんインタビュー

Phnom Toi(プノントイ)をもっと知るためのインタビュー企画が始まりました。第3回目の今回は、「ウッドディフューザー」の制作でご協力いただいている、木の工房Heavenly竹田さんの活動を紹介します。竹田さんがどのような制作活動をしているか、職人になるまでの人生の道のり、そしてPhnom Toiが微力ながら、そこにどのような形で関わらせていただいているかを紹介します。

 
最終更新日 2023/5/28

インタビュー・執筆 アヤノ



竹田亜希子(たけだ あきこ)

2016年、木工旋盤(ウッドターニング)に出会う。ナカジマウッドターニングスタジオで本格的に旋盤技術の取得と経験を積む。2018年に大阪工芸展へ初出展し、入選。翌年には大阪工芸協会奨励賞を受賞。2022年に独立をし、京都府久御山町に工房を構える。

 ウッドターニングとの出会い


――竹田さん、本日はよろしくお願いします。
まずは、竹田さんの大学卒業後からの経歴について教えてください。

大学卒業後は、体育の教師と学童指導員をしていました。しかし、今後のキャリアを考えた際、“モノづくり”に関わる仕事がしたいと思い、家具製作会社に就職をしました。ですが、そこでの作業はほぼ流れ作業で、女性という理由で機械仕事や組み立て作業など、やりたいことがさせてもらえませんでした。モノづくりを110まで自分の手でやりたいという気持ちが強かったため、ネットで検索していた時にウッドターニングというものを知りました。

ナカジマウッドターニングスタジオが開催している教室を受講し、その後ご縁があってナカジマウッドターニングスタジオに転職しました。そこで、旋盤の技術を本格的に学び2022年に独立をしました。

 

――モノづくりに興味があったとのことですが、もともと木工に興味があったのですか?

いえ、特に木工にこだわりはありませんでした。最初はモノづくりなら何でもよかったのですが、ウッドターニングに出会いどんどんハマっていきました。

 

――ウッドターニングのどのようなところに惹かれたのですか?

同じ木でも木目はすべて違うため、全く同じものは出来上がりません。
出来上がるデザインが無限で、同じものが1つもないという点が面白いと感じました。

 ウッドターニングを扱う竹田さん

 

――木材ならではの面白さですね。大阪工芸展で受賞もされているとのことですが、その際の制作の様子について教えてください。

 

本当にウッドターニングが好きで、職場に行って作品作りをしていたので、社長に“工芸展とかに出したら”と勧められて出しました。初めて出した時は入選でしたが、2回目で奨励賞をいただきました。

 

 

京都に工房を構え独立した道のり

 

――独立という道を選んだきっかけは何ですか?

 

自身で自由にモノづくりがしたかったからです。自分で旋盤を買うつもりでいたのですが、家具制作会社の社長が旋盤を購入してくれました。ですが、会社のものですし残業なども多く時間がなかったため、存分に自分のやりたいことが出来ませんでした。なので、独立をして好きにやろうと思った時にナカジマウッドターニングスタジオ代表の中島さんから独立前提で、スタジオで働くお誘いをいただきました。

丸5年働いたのでそろそろかなぁと独立しました。

 元々食堂として使われていた工房

 

 

――では、竹田さんのモノづくりへのこだわりについて追及していきたいと思います。どのような流れで作品が生まれるのですか?

廃棄されていた木材や、製材工場などから出る端材をいただいて作品を作っています。できるだけ材料を無駄にしたくないという思いで、手に入った材料の大きさに合わせた作品を制作しています。実際にいただいた端材で作ったものを製材工場に持っていくと、とても喜んでいただき、「無駄なく使ってくれるなら…」とのことで、また新しい端材がもらえたりします。

 


工場から出る多種多様な木材の端材

 

 

ウッドディフューザーの制作について

 

――ウッドディフューザーを製作していただくに至った経緯を教えてください。

元々ナカジマウッドターニングスタジオにいた時に、スタジオにPhnomToi代表の吉成さんから依頼があり私が制作をしていました。独立をした後も私に制作してほしいという要望があり、以前はスタジオ経由で私が制作していたのですが、直接依頼を受けてもいいよとスタジオの代表から打診して頂き今に至ります。

 

《竹田さんに制作をお願いしたPhnom Toi代表吉成さんにもお伺いしました。》

――なぜウッドディフューザーの制作を竹田さんにお願いしたのですか?

とても作業が丁寧で、モノづくりへのこだわりが強かったからです。また、ウッドターニングを心から楽しんでいらっしゃったので、ぜひ竹田さんにお願いしたいと思いました。

 


ウッドディフューザーを制作している竹田さん

 

――ウッドディフューザーの制作にあたって、こだわっている点はありますか?

吉成さんが考えたデザインに忠実に作り上げることです。サイズ感は難しいですね。大きいものは多少サイズが違っていても分かりづらいですが、小さいものは些細なサイズの違いが目立つので繊細な作業です。

 

 ウッドディフューザーのデザイン

 

――竹田さんの技術が生かされている点はどこですか?

しっかりと刃物を使いこなせていないと、逆目が立ちやすいです。制作時には、刃の部分を丁寧に研いでいます。

 


完成したばかりのウッドディフューザー檜

 

――1個1個とても丁寧に作られているのですね。ウッドディフューザーをどんな方に手に取っていただきたいですか?

木の香りは、どんな人も癒されると思うので老若男女を問わず、多くの方に使っていただきたいです。

 

 

これからのモノづくりにかける思い

 

――竹田さんにとって、自然の力は人々の生活の中にどのような影響を与えると思いますか?

人工的に作り出すことのできない自然の美しさは、見ていて楽しいです。私は、生活していて何でも木で作ってみたくなるんです。家の中に木のモノがあるだけで癒されますよね。

 

――工房としての今後の目標を教えてください。

竹田さんだから作ってほしいと言ってもらえるように。1点物の味わい深さを気に入っていただき、長く使っていただける商品制作に携わっていきたいです。

 

 

 

編集後記

京都の南、観光客で賑わう市内から少し離れた、のどかな場所に竹田さんの工房があります。

工房に一歩足を踏み入れると、豊かで深い木の香りに包まれ思わず「いい香り…」と声が出てしまいました。

多種多様な木材に囲まれて日々モノづくりに励んでいる竹田さん。今回のインタビューでは、ウッドターニング技術の魅力を知るとともに、竹田さんがモノづくりを通じて伝えたい思いをお伺いすることが出来ました。

この記事が、「サスティナブル」を生活の中に取り入れ、明るい未来に繋がるきっかけとなりましたら幸いです。

 

 Profile

アヤノ

 


2000年、静岡県出身。大学4年生。
大学では児童文学や国際関係などを英語で学ぶ。2021年には長年の夢であった留学のためにドバイに9ヶ月滞在後、翌年12月よりPhnom Toiにインターン生として活動に携わる。
好きなものは、コーヒーとスイーツ。

 

 

 

 

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