奈良・吉野からの自然の恵み ーヒノキ精油 商品ストーリー

今回は、Phnom Toiのアイテムの中でも一番多くの方に手に取っていただいている、吉野ヒノキ精油ができるまでのストーリーをお届けします。


 
最終更新日 2024/1/31

執筆 Atsuko Ebizawa

Phnom  Toi 吉野ヒノキ精油 

目をつむって香りをかぐと、どこか懐かしい安心感に包まれます。ヒノキは、家屋やヒノキ風呂も使用されてきた日本人には馴染みのある木材です。また、神社やお寺を連想させる香りは、凛とした清々しさも同時に感じさせてくれます。 

Phnom Toiの精油の中でも一番人気な吉野ヒノキの香りは、老若男女問わず愛されるオーソドックスな香りです。ギフトにもピッタリですよ 

吉野ヒノキの精油の製造過程や歴史を知れば、香りの奥深さをより感じられるはず。香りを楽しむだけではもったいない!今回は、Phnom Toiの吉野ヒノキ精油の魅力について、たっぷりとご紹介しますね。 

ヒノキの恵み 

世界最古の木造建築として知られている法隆寺も、吉野ヒノキを使って建てられたと言われています。ヒノキは、吸湿性・排湿性のよさ、抗菌、香りのよさなどの特徴があり、日本を代表する木材のひとつです。建物に使われるだけでなく、ヒノキ風呂や樽、神事などにも幅広く使われてきました。

吉野ヒノキ木材 

 

 

奈良県・吉野川が流れる地域では、室町時代から吉野林業が発達してきました。暑くて雨が多い気候であること、土壌が良いこと、そして大阪など消費地が近いなど、吉野の地域にいい条件がそろっていたことが理由です。吉野林業は、ヒノキの木を密集させて植え、間引きして育てることで、年輪が詰まった真っ直ぐで均一な木材を作っています。吉野林業の森は、山の持ち主ではなく、森林のプロの人たち「山守(やまもり)」が管理をしていることも特徴です。 

奈良県・吉野のヒノキ林

 

また、ヒノキは140種類以上の香り成分を持ち、リラックス効果、抗菌・防臭効果など、私たちの日々の暮らしの中でも役立つさまざまな効果があります。 

 

吉野の自然から生まれた天然のヒノキの恵みがこの精油にはぎゅっと詰まっているのです。

人と木の共存、そして循環する森へ 

「自然を守るためには、木を使わない方いい」と思われちてすか、そう ありません。 

 

 人によって植えられた森林である人工林は、放っておくと枝の伸びすぎや木と木の詰まりすぎによって森の中が暗くなり、植物が育ちにくくなったり生き物が減ってしまったりします。また、木の根が地面にしっかり張っていないことで、土砂崩れなどの原因にもなります。 

間伐前の人工林
手入れしている森林(手前)に比べて、奥側の林内が暗くなっている

 

適切に木材を活用することが、人によって定期的に森林を整備・維持することに繋がります。そして、真っ直ぐで節のない美しいヒノキなどの木材を育てることができるのです。つまり、人が木を活用しながら手を入れることが、自然の循環を生み、日本の林業を発展・継続させることにつながっているのです。 

作業道が作られ丁寧に森づくりがされている森林

奥深い香りのヒミツは、抽出・ブレンド過程に! 

このヒノキ精油の香りの奥深さは一体どこからくるのでしょう。 

吉野ヒノキ精油 

 

それは、2種類の方法で蒸留したヒノキの精油をブレンドすることにより、奥深い香りが生み出されています。 

 Phnom Toiが現在取り扱っている吉野ヒノキ精油は、奈良県吉野郡にある喜多製材所で製造されています。建築材としての需要が減る中で、喜多製材所では、ヒノキの多様な効果に着目し、20年ほど前から新たな活用を進めるための挑戦をされてきました。 

 

ここからは、喜多製材所の取り組みやこだわりの抽出方法を解説しますね。 

抽出方法1:「水蒸気蒸留法(すいじょうきじょうりゅうほう)」

水蒸気蒸留の釜 

一般的な植物の香り成分を含んだ精油を抽出する方法です。 

 

原料はヒノキのおが粉(おがくず)です。釜に入れ、水蒸気を直接おが粉に噴射します。加熱して芳香成分を蒸気にします。蒸気を冷やすことで液体に戻します。この際、精油は水よりも軽いので上に浮かびます。上澄みを集め、植物から抽出した精油ができます。 

ヒノキのおが粉 

ちなみに喜多製材所のおが粉は、酵素風呂や猫用の砂などにも、幅広く活用されています。 

抽出方法2:こだわりの「減圧温熱循環式(げんあつおんねつじゅんかんしき)」 

減圧温熱循環式は、水蒸気蒸留法と同様、植物の一部を蒸留器に入れて加熱する方法です。異なるのは、低減圧下で加熱と冷却を繰り返す点です。低減圧を使うと植物の中に含まれる芳香成分が蒸気として抽出されやすくなります。つまり、低減圧を使うことで、精油の抽出がより効率的に行われるのです。 

 

減圧温熱循環式の機械

水蒸気蒸留法が一般的ですが、喜多製材所では、こだわりの減圧熱循環式も採用しています。木を熱板ではさみ、1日半かけてゆっくりと加熱・乾燥させ、蒸留しています。余分な水分を通さないので、混じり気のない、濃い精油になります。天然成分100%のエッセンシャルオイルです。 

また、柱や板を乾かす過程で、精油・樹液水(フローラルウォーター)を作っているのも特徴のひとつ。木材の乾燥は製材工程中のプロセスの一つであり、精油を採取するためだけの作業ではありません。つまり製材業という作業過程の副産物として 精油が採れるということ。さらに、ケミカルなプロセスがないため、製造工程も生産物も環境にも優しいのです。 

減圧温熱循環式で作られた精油、水蒸気蒸留法で作られた精油は、同じ吉野ヒノキ材からできたものであっても、香りの成分や特徴が異なります。2種類の蒸留方法で抽出されたエッセンシャルオイルをブレンドすることで、奥行きのある香り天然の香りを楽しむことができるのですね。

おうちで気軽に森林浴を 

樹木の香り成分は、「フィトンチッド(Phytoncide)」と呼ばれています。フィトンチッドは、植物が自分を守るために分泌する特別な物質です。病気を引き起こす微生物や害虫を撃退する効果があります。森林や自然の中にいるときに感じる、清々しい、爽やかな香りの一部は、フィトンチッドによるものです。つまり、おうちでヒノキ精油を使うことでまるで森の中にいるような気分を味わうことができるのです。 

ヒノキ林 

 

吉野ヒノキ精油のおすすめの使い方を紹介しますね。 

 

・アロマディフューザーやティッシュに数滴垂らせば、おうちの中に森の香りが広がります。  

・お湯を満たしたバスタブに数滴垂らせば、香り豊かなヒノキ風呂を楽しめます。  

・ヒノキ精油をキャリアオイルと混ぜて、マッサージオイルとして使うこともできます。肩や腰などの疲れた部分にマッサージすることで、心地よい香りと共にリラックスすることができます。 

ヒノキ精油の香りは、森の中にいるような自然なリラックス・リフレッシュ効果をもたらしてくれます。おうちで森林浴をするような贅沢な時間を楽しんでくださいね。 

 

 Profile

海老澤敦子 Atsuko Ebizawa

1988年、兵庫県出身。革作家。
小学校教諭として在職中に、JICAボランティアとしてエチオピアへ(2015~17)。教育に携わる仕事を経て、2022年よりフリーランス。エチオピアレザーを使ったアクセサリーや革小物の制作と販売をしている。

Instagram  @atsuko_today

 

 

吉野ヒノキエッセンシャルオイル5ml

 

 

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商品ストーリー企画


Vol.1  「人、自然、未来にやさしさを」 ヒノキローズBOXができるまで
Vol.2  奈良・吉野からの自然の恵み ーヒノキ精油 商品ストーリー

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